体外受精を何度も重ねているのに、一度も妊娠に至らない。
最初は「きっとうまくいく」と信じていたのに、気づけばもう数回目。先生もご本人も、ここまで時間がかかるとは思っていなかった――。
T様は、そんな状況の中でリフェムLABOに来られました。
看護師というお仕事柄、医療のリスクは人一倍理解されています。だからこそ、「卵を何個戻すか」という選択にも、常に冷静な判断がつきまといます。三つ子のリスク、早産のリスク、受け入れ先の医療体制。知識があるからこそ、感情だけで決められない現実があります。
一方で、クリニックの先生からは「三個でもいいよ」と最終判断を委ねられる。
その瞬間、決断の重さはすべて自分にのしかかるのです。
保険適用は六回まで。
「使い切らないともったいない」という気持ちと、「このまま続けていいのだろうか」という不安。
「良い卵だから妊娠するよ」と言われても結果が出ない。
心の中で「どっちやねん」と叫びたくなる気持ち。
ご主人は「君に任せるよ」と寄り添ってくれる。でも、決断の責任が軽くなるわけではありません。
当院で初めてお話を伺ったとき、私が強く感じたのは
「ひとりで抱え込みすぎている」ということでした。
医療者として冷静でいようとする自分。
一人の女性として希望を持ちたい自分。
その間で、心が引き裂かれている状態でした。
リフェムLABOでは、まず現状を把握することから始めます。
これまでの治療歴、採卵数、受精回数、胚盤胞到達数、着床歴。
数字だけを見るのではなく、その背景にある生活リズム、睡眠、食事、ストレス、仕事環境まで丁寧に確認していきます。
T様は何度も「どうしようかな」とつぶやかれていました。
でもそれは弱さではありません。
本気で向き合っているからこそ出てくる言葉です。
施術では、鍼灸で自律神経の調整を行います。
採卵や移植を繰り返している方は、交感神経が過緊張になっていることが多いのです。
脈や腹診を確認しながら、自律神経を整え、子宮周囲の血流改善を目指します。
温活では、温熱器やよもぎ蒸し、赤外線温熱で骨盤内の循環を促進。
「お腹がぽかぽかする」とT様は驚かれていました。
冷えは自覚がない方も多いですが、骨盤内温度が1度変わるだけで血流量は大きく変化します。
整体では、骨盤と背骨のアライメントを調整。
長時間の立ち仕事や緊張状態が続くと、横隔膜や腸腰筋が硬くなり、子宮の可動性も低下します。
呼吸が深く入る体に戻していくことで、血流とホルモンの流れをサポートします。
さらに、分子栄養学の視点からもサポート。
炎症体質の有無、鉄やビタミンDの不足、腸内環境の状態。
卵の質はミトコンドリア機能と密接に関わります。
「良い卵」と言われても、着床まで進まない背景には、炎症や血流の問題が隠れていることもあります。
施術を重ねるごとに、T様の表情は柔らかくなっていきました。
「体が軽い」「眠りが深くなった」「生理痛が減った」
体の変化は、心の余裕にもつながります。
何より大きかったのは、「気持ちを言葉にできる場所」があったこと。
続けるも、区切るも、どちらも間違いではありません。
大切なのは、自分で納得して選べること。
今、T様は「五回目で一旦区切ろうかな」と考えられています。
それは諦めではありません。
自分の心と体を守るための、前向きな決断です。
妊活は、回数や年齢だけの問題ではありません。
もし今、同じように迷っている方がいらっしゃるなら、
どうかひとりで抱え込まないでください。
答えは急がなくていい。
でも、体と心を整えることは、今日から始められます。
不妊治療で行き詰った方の最後の希望の治療院として、
私たちは、静かに寄り添い続けます。
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